版築とは
「版築(はんちく)」とは、中国式の土壇・土壁の築造法で、土をつき固めて建物の土壇や土壁を造る方法です。
古くは古墳時代から用いられていたもので、歴史ある築造法と言って良いでしょう。
京都・奈良には歴史ある寺院寺社が数多くあり、版築が採用されているものも結構あります。
代表的なのは奈良の法隆寺の築地塀です。
中国では、古代における都城・長城など大規模な工事で使用されてきました。
又、客家(ハッカ)の住居・円楼(円形集合住宅)等にも使われています。
日本では、家屋の壁や城郭の土塁に用いられてきました。
アジア圏だけでなく、西洋においても教会や民家などでも外壁に版築が用いられています。
京町家においても、仕上げにこだわった町家の壁には「版築壁」が施されている例もあります。
京都の老舗茶屋などでは、現在も版築壁が採用されています。
版築壁は濃淡の土や異質の土を使って色分けをすること等で、視覚的にも質感も豊かで古くて新しい仕上と言えます。
日干しレンガとレンガ
日干しレンガは、粘土を型に入れ,天日乾燥した建築材のことです。
決して新しいものではなく、歴史あるものと言っても過言ではありません。
古代メソポタミア、古代エジプトにおいても広く使用されてきたものです。
日射しが強く乾燥した気温の高い地域には日干しレンガが容易に作れます。
北米の原住民の家は、アドビーと言われる日干しレンガで住居(集合住宅)が作られています。
一般的なレンガは、粘土や泥を型に入れて窯などで焼き固めてつくられますが、
レンガは基本的に耐熱性能・蓄熱性能を持っています。
要は「夏は涼しく、冬はあたたかい」という性質です。
日本には歴史あるレンガ創りの倉庫が各地に残されています。
それはレンガ創りの倉庫は、年間を通じて室内温度を一定に保つことができるためです。
土を使った仕上 (各種) 三和土仕上げ、漆喰磨き仕上(各種色等も)
土壁は種類や配合によって、また、まったく同じ土であっても左官屋さんの仕上げ方によって、さまざまな表情を見せてくれるものです。
昔ながらの土壁を連想されている方は驚かれるとおもいますが、
いまや「これが土壁なのか」と驚くほどバリエーションが豊富なのです。
また、家屋の中で土を使った仕上げをするのが「土間」です。
古い民家では玄関をくぐると、居室との間に土足で歩ける空間がつくられていましたが、その空間が土間です。
現在では玄関がそれに該当します。
- 三和土(タタキ)仕上げ
土に石灰とに苦汁を混ぜ合わせ、叩いて固めて仕上げたものを「三和土仕上げ」と言います。
日本では古くから民家の土間を中心に使用されてきました。
最近ではセメントが建築材料の主流として使われていることから、三和土仕上げの土間を目にする機会が減ってきてしまいました。
三和土は本来、土に石灰とに苦汁と3種類の原料を合わせるものです。
三和土は、混ぜる土の色が仕上がりの色になります。
着色が可能で、例えば黒色にしたい場合は粉炭を混ぜるのが一般的です。 - 漆喰磨き仕上
漆喰磨き仕上げとは漆喰を鏝(こて)で磨き続け、鏡面に仕上げる工法の事です。
主に白い漆喰で施工されることが多いのですが、中には黒磨きや赤磨きなどもあります。
漆喰磨き仕上げが施されたものは、表面強度が非常に強いものです。
そのため、昔から外壁に用いられてきました。
京都の歴史的建造物にも漆喰磨き仕上げが施された外壁が見られます。
また、京町家においてもこの工法が使われているものもあり、まさに伝統工法とも言えるものです。
海外でもこの工法の仕上は、あちこちで見うけられます。
新しい素材 珪藻土、シラス壁等
最近では建築素材として「珪藻土」や「シラス壁」など新しい素材が用いられています。
「珪藻土(けいそうど)」とは、珪藻の殻が化石になって積み重なって固くなった土のこと。
珪藻土は火に強い土であることから、これまで七輪・コンロ・耐火レンガなどに使われてきました。
最近では建材として内壁の仕上材として用いられています。
そして「シラス壁」とは、、火山噴出物 シラスを主原料とした建築材料のこと。
マグマが岩石となる前に粉末となった物質であり、養分を持たない原始的な土。
シラス壁は、吸放湿性能が優れていることや、消臭作用が高いこと、結露やカビの発生が少ないことから外装、内装壁材として用いられています。
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最終更新日:2020年3月4日投稿日:2018年12月3日